1966年初頭、自社製エンジンをアメリカの企業に売り込むためにアメリカを訪問していた、ローバー社の販売部長ウイリアム・マーティンハースト William Martin-Hurst は、ウィスコンシン州のフォンデュラック Fond du Lac という町の船舶会社で偶然、小型のV8エンジンを目にしました。持ち主に聞くと、そのエンジンはビュイック社 Buick の乗用車スカイラーク Skylark から取り外したもので、レース用ボートに積み替える途中とのこと。

ローバー製の六気筒エンジンよりもコンパクトで軽そうな(合金製)このV8エンジンを、なんとか本国へと持って帰りたいと考えたマーティンハーストは、ビュイックの親会社であるゼネラル・モーターズ社 General Motors の重役に直談判して、数カ月にわたる交渉の後、遂にこのエンジンのライセンス製造権を買い取ることに成功します。

こうしてローバー社の工場で生産されることになった3.528リッターのV8エンジンは、まずローバー社のセダン「P6」に搭載され、当時開発が始まったばかりの新型ロードローバーへの流用も検討され始めます。

新型ロードローバーには最初、3リッターのローバー社製直列六気筒エンジンが搭載される予定でした。しかし、実際にテストしてみると、このエンジンでは四輪駆動車に必要な充分なパワーが得られないことが判明しました。そのため、1968年にエンジン変更の研究が行われて、ビュイック製V8が正式に新型ロードローバー(後のレンジローバー)のエンジンに決まったのです。

 

ROVER のカムカバーを付けたビュイック製V8エンジン。


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